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最高裁判所第三小法廷 昭和31年(あ)667号 決定

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

被告人の上告趣意は、事実誤認及び量刑不当の主張をいでず、弁護人三根谷実蔵の上告趣意は、憲法違反を主張するが、その実質においては単なる法令違反をいうに帰し、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない(銃砲刀剣類等所持取締令は、昭和三〇年法律第五一号により一部改正され、この法律は同年一〇月一日から施行されいてるが、改正後の同令によれば、「あいくち」は刃渡に関係なく同令一条二項の「刀剣類」に包含され、同令二条に違反してこれを所持した者は同令二六条により処罰されることとなったことは、改正前後の同令一条一五条等をくらべてみれば明らかである。そして、正当な理由がなく「あいくち(七首)」を携帯することが犯罪となることは、新旧いずれの法律においても変りはないのであるから、所論のように刑の廃止があったものということはできない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己)

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